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異文化と異次元の旅人

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2007年07月08日 (日)

ブルーベリー・パンケーキ

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先日スーパーで見つけて、思わず買ったオレゴン産ブルーベリー。試しに2~3粒口に入れると、よく熟していて非常に甘い。当たりだった。ブルーベリーは大好物なのだが、これまで日本で買った輸入物は、高い割りに酸っぱ過ぎたり、当たりはずれが多かったので、敬遠していた。こんなに質の高いブルーベリーは久しぶり。ボール一杯分、カスピ海ヨーグルトといっしょに食べた。

ブルーベリーなるフルーツを初めて食べたのは、1980年にアメリカに渡ってからだ。日本では貧乏学生で、高価なフルーツを堪能することなどとてもできなかった。アメリカでは、スーパーに行けば安価なフルーツが山のように積んである。夏休みには、丸一日スポーツで汗をかいた後、10種類ものフルーツを山盛りにした特製フルーツプレートを毎日のように食べた。ブルーベリーが大好き、いちごも大好き、チェリーも大好きで、スイカも大好きだ。

ブルーベリーはジャムも悪くないが、他のフルーツと同じく、やはり生が一番おいしい。唯一の例外は、ブルーベリー・パンケーキだ。初めて作ってくれたのは、ブライアン。彼に出会ったのは留学して1年後のことだった。

新学期の科目登録が行われている体育館で(その頃はまだオンライン化されていなかった)、登録のお手伝いをしていた大学院生の一人が、私と日本人の友人を見かけると、日本語で話しかけてきた。ちょうど日本からアメリカに戻ってきたばかりだと言う。スタンフォード大学を卒業してから5年ほど日本に住み、企業やインターナショナルスクールなどあちこちで教えていたらしい。繊細そうでいて結構不器用、冗談が好きだが思いやりもある。私は肩肘張らない彼の性格が気に入って、すぐに意気投合した。

その彼と日本人学生2~3人でいっしょにある日映画を見に行った帰り、小腹が空いたねという話をしていると、彼が自分の住んでいるアパートに来いと誘ってくれた。ブルーベリー・パンケーキが得意料理なので作ってやると言う。彼のアパートは、留学生も多く住んでいる、バス・トイレ共有の寮のような共同住宅だった。その広いキッチンで、不器用な彼が、フライパンにたっぷりバターを引いてパンケーキの生地を延ばし、その上に大粒で丸々と水分を湛えた濃紺のブルーベリーを無造作に並べていく。

パンケーキなんて出来合いの粉を溶かして焼くだけだろうと高を括っていた私は、不器用な手つきながら、カラッと、しかししっとりとパンケーキを焼き上げていくブライアンの料理の腕に感心させられた。しばらくして、スパチュラでひっくり返されたブルーペリーの表面には、焼けたブルーベリーから破れ出てきた紫色の果汁が、花びらのような模様をいくつも作り、甘酸っぱい香がキッチンを満たした。

実物を見るまでは、薄味で水分が多いブルーベリーを焼いて本当においしいのかと半信半疑だったが、実際に食べてみると、控えめな酸味がメープルシロップそしてコクのあるバターと絶妙の組み合わせで、平凡なパンケーキがまるで高級デザートに化けてしまったかのような味わいがある。ブルーベリーの虜になった私は、この高いフルーツをいつも買い置き、それから週末は毎朝のように、ブルーベリー・パンケーキを作るようになった。

ブルーベリーは生でも、ヨーグルトといっしょでも、そしてパンケーキに入れて焼いてもおいしい。その頃、ブルーベリーに含まれるアントシアニンが目の網膜に良いなどという健康情報はまったく知らなかった。ただ、おいしいから食べていた。ずっと食べ続けている。今では、日本でもブルーベリーを手に入れやすくなり、質も良い。先日買った和歌山県産のブルーベリーは、アメリカからの輸入物より若干値が張るが、甘くてコクがあり、品質的にはアメリカ産を上回っているのではないか。

ちなみに、ブライアンとは翌年大きな一軒家の2階を借りていっしょに住むことになり、アメリカについて多くのことを習った。スポーツ、文化、映画・テレビ番組、歴史・政治、男女関係。彼は頭脳明晰なインテリでスポーツも万能だったが、根は子供っぽくてやんちゃで、小学生の男の子がやるようないたずらをして喜んだり、冗談ばかり言って周りの人間を和ませた。ちょっと甘酸っぱさを残した、それこそ「ブルーベリー」のような性格だ。私とは深い部分で共鳴したのか、他の留学生達に見せないような奥の顔を見せ、アメリカやアメリカ人の裏のことをあれこれ教えてくれた。彼と出会わなければ、私は今の半分もアメリカについて語ることが出来なかっただろう。

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Taro Who?/フウタロウ

管理人 : Taro Who?/フウタロウ
理系研究者からビジネス現場の通訳・翻訳・マーケティングサポートを経て、現在はもっぱら大学・大学院で理系英語・翻訳・プレゼン・ライティング等を教える。また、理系英語教育プログラム、脳科学的アプローチに基づく英語学習、通訳訓練法、通訳・翻訳理論を研究する。しばしば仕事はそっちのけで、旺盛な好奇心のおもむくまま、あらゆるジャンルに首をつっこみ雑文を書く。砂漠とロッキー山脈が大好きだが、最近はとんとご無沙汰。もっぱら仙人生活を送っている。でも、パーティーとおしゃべりは嫌いじゃない。日本生まれ、日本在住。20代から15年間アメリカで過ごす。

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