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異文化と異次元の旅人

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2007年07月02日 (月)

ウインドサーフィン

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仕事帰り、夕食の買物で立ち寄った阪急オアシスで、「オレゴン産ブルーベリー」を見つけた。アメリカ西海岸からの輸入品といえば、ワシントン産のチェリーやリンゴ、カリフォルニア産のオレンジなどが有名だが、オレゴンからの物産は珍しい。思わず手に取って、ひとパック買ってしまった。

私は、アメリカに住んでいた15年間、最初はニューヨーク州、その後中西部の大学に移り、西海岸に居を構えたことはない。カリフォルニアやワシントン州には旅行で何度か行ったが、オレゴンには足を踏み入れたことがなかった。実は、そのオレゴンには私の憧れの地があり、いつか訪れることをずっと夢見ていた。

アメリカ中西部の大学で大学院生をしている頃、キャンパスの目の前に大きな湖があって、夏は研究室で6時過ぎまで仕事をした後、毎日のようにこの湖でウインドサーフィン(正式には、"boardsailing")をしていた。風があればウインドサーフィン、風がなければテニス、雨が降ればジムでワークアウト、というのが当時の生活パターンだった。

遠くに街の風景を眺めながら、自然の力だけで、誰もいない水面をどこまでも滑り続けるウインドサーフィンは、、一日の疲れを癒すには最高だった。2時間ほど気ままに滑って、日が暮れる8時頃陸に上がり、心地よく疲れた体をボートハウス近くの芝生に横たえて、夕日に染まる空と湖面をいつまでも眺めていたら、いつの間にか星が満天に広がっていく。それだけで、嫌なことは何もかも忘れ、世界一幸せな気分になれた。

ただ、一周30キロメートルそこそこの湖なので、ストームでも来ない限り、豪快な風や波を味わうことは出来ない。たまに強い風が吹けば"planing"らしきものも経験できるが、たいていはのんびりとクルージングするだけだ。ハーネスすら必要ない。



定期購読していたウインドサーフィンの雑誌をひっくり返しては、山のような波を乗り越えたり、超高速で疾走するサーファーの写真を眺めて、いつかオレもここで滑ってやると憧れを募らせたものだ。

そうした、ウインドサーフィンのメッカのひとつが、ハワイ・マウイ島の Ho'okipa、そして、もうひとつが、オレゴン州コロンビア川の"the Gorge"だ。マウイの Ho'okipa は、ある年の年末、教授のご機嫌を気にして研究室を空けるのをためらっている友人を説得して、何とか一週間ほど休みを取って、小さい飛行機とレンタカーを乗り継いで、生まれて初めて訪れた。季節はずれにもかかわらず、ウェットスーツを身につけ、帆が見えなくなるほど高い波を、芸術的に乗りこなしている本場のサーファーを見つけ、痛く感動した。しかし、"the Columbia River Gorge"は、残念ながら訪れる機会がないまま日本に帰ることになり、その後ウィンドサーフィンをする機会もない。

この先、スピード狂が集う"the Gorge"や、高さ何メートルもの波に乗ってジャンプする"Ho'okipa"で、私自身がウインドサーフィンする可能性は、まずないだろう。せいぜい、ちょこっとお金でも貯めて、海がきれいなリゾート地、カリブ海の Aruba でバケーションかたがた、ついでにウインドサーフィンも楽しむくらいだろう。それはそれで悪くはないが、無鉄砲で荒々しかった、過ぎ去りし日々がちょっぴり懐かしく、それを思い出させてくれる地名を聞くと、気持ちだけは一気に当時に飛んで行く。

ちなみに、ウインドサーフィンというと、サーフィンやスケートボーディングなどのように、いかにも難しいスポーツで、運動神経が良くて体力もある若者しかできないと思われているかも知れないが、まったくそんなことはない。ウインドサーフィンの習得で難しいのは、最初ボードに立って帆を水から引き上げ、バランスを取れるようになるまでだ。ここまでに平均的な初心者で一週間近くかかる。

私が習った時も、大学のテラスでみんながビールを飲みながら見物していて、水に落ちるたびに笑い声が上がるので、恥ずかしさと屈辱感を乗り越えるのが大変だった。実際、バランスを崩して水に落ちる姿はいかにも滑稽で、見物していても飽きない。私もテラスでビールを飲んでいる時は、あちらこちらでポチャポチャ落ちる初心者を指さしては、みんなといっしょによく笑っていたものだ。これに耐えられず辞めてしまう初心者がたくさんいる。私は負けず嫌いなので、何度水に落ちて笑われても練習を繰り返し、二日目には立てるようになり、帆を引いて滑り出していた。

ウインドサーフィンとひとことで言っても、強い風や高い波が出ている状況での、高速スラローム(Slalom)やウエイブ(Wave)は、たしかに相当な熟練者でないと無理だが、風速 28km/h 程度以下の穏やかな条件下で、ロングボードを使ってクルージングするだけなら、70才のおじいちゃんでも大丈夫だ。

それどころか、現役を退いた健康な中高年にとってウインドサーフィンは最高の趣味のひとつになる。時間がたっぷりあるので、その日の風任せで車にボードを積んで移動し、混んでいない週日の昼間にたった一人でセーリングを楽しめる。特に、遭難する危険性が少ない湖でのウインドサーフィンがお薦めだ。自然の力だけで、どこまでも湖面を自由に走り回る快感は、羽根を突けて空を飛ぶ自由に似たものがある。私も70才になったら、またウインドサーフィンを再開しようと密かに計画している。

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プロフィール

Taro Who?/フウタロウ

管理人 : Taro Who?/フウタロウ
理系研究者からビジネス現場の通訳・翻訳・マーケティングサポートを経て、現在はもっぱら大学・大学院で理系英語・翻訳・プレゼン・ライティング等を教える。また、理系英語教育プログラム、脳科学的アプローチに基づく英語学習、通訳訓練法、通訳・翻訳理論を研究する。しばしば仕事はそっちのけで、旺盛な好奇心のおもむくまま、あらゆるジャンルに首をつっこみ雑文を書く。砂漠とロッキー山脈が大好きだが、最近はとんとご無沙汰。もっぱら仙人生活を送っている。でも、パーティーとおしゃべりは嫌いじゃない。日本生まれ、日本在住。20代から15年間アメリカで過ごす。

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