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異文化と異次元の旅人

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2007年06月29日 (金)

Hearts Do Cry.

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昔からの友人と三宮で会った。

待ち合わせの改札口でしばらく待っていると、偶然、去年の教え子の一群が下りてきた。どうやら彼らはクラスの飲み会らしい。親しげに手を振って近寄ってきてくれたのはいいが、「誰と会うんですか?デートですか?どこに行くんですか?」とニヤニヤ詮索がましい。「え…?いらん心配するな。お前らこそ、どこ行くんだよ?」と彼らの宴会場所を聞くと、「ぜひいっしょに参加して下さい」としきりに誘ってくれる。しかし、学生の飲み会に先生が飛び入り参加して、盛り上がる訳ないだろ。適当にごまかして、学生達とは反対の、あまり人がいない方面に向かい、彼らが来そうもない一軒の居酒屋のカウンターに座った。

この日会った友人とは、お互い弱音を見せたり、人に言えないような相談もしたり、自分を曝け出して語り合える仲だ。知り合った頃は先生と教え子という関係だったので、つい最近まで随分長い間、先生としての威厳を崩せない堅い関係だったが、ある時、お互い他人には話せない秘密を共有し合ってから、急速に親しくなった。

この日は飲みたい気分だった。料理の皿をあれこれたくさん並べ、あまり飲めもしないのに、ビールの杯を次から次と空けた。酔いが回るにつれ、前頭前野の制御が緩んできたのか、何年も胸の奥に封印していたはずの「本当の気持ち」が溢れてきて、話が5年、10年、20年と遡っていく。あの時本当はこうだったんだよね、という、そういう類の打ち明け話だ。

「何も言わず静かに見守るのが、最大の愛情ってこともあるだろ?」と言うと、「それはおかしい」と現実的な友人は反論する。「普通の男はやっぱり、『据え膳食わぬは』っていうでしょ?」
「それは、違うんじゃないかな。もし無責任なことをしたら、そんな自分を尊敬できないだろ?」
「いや、無責任なんじゃなくて、その時その時は真剣なんですよ。」
「いいよ、オレは普通の男じゃないんだよ。オレにはオレの生き方、美学があるんだよ。」

そりゃ、オレだってしんどいさ。そんなにつっぱらないで、ちょっと悪ぶってりゃ、いくらでも…

本当に良いヤツは単なる「いい人」で終わってしまう。これは日本だけではなく、アメリカでも同じ。"Nice guys finish last." という表現があるが、誠実で思いやりのある男は、たいてい一番「損」することになっている。

でも、損したっていいじゃないか。オレはそんな男が好きだ。酔って感傷的になっている私の繰り言を、友人はずっと黙って聞いていた。清原選手の左ヒザではないが、この日の酒はやけに古傷に滲みる。

そして、頭の中に、大好きな Marty Balin の "Hearts"のメロディーが流れてきた。初めて聞いたのは、もう20年以上も前のアメリカ。深夜のトークショー番組で最初のフレーズが流れてきた瞬間、激しく心が共鳴した。うろ覚えだが、聞き取った範囲では次のような歌詞だった。

Is everything alright
I just called to say
How lost I feel without you
Miles away
I really can't believe I'm here
And how I still care about you

Hearts can break
And never mend together
Love can fade away
Hearts can cry
When love won't stay forever
Hearts can be that way

一昔前のポップ調で、歌詞はやや未練がましいが、メロディーとボーカルが最高。よく聞いていると、日本の演歌に通じていないこともない。実は、彼はオフコースの「さよなら」を英語バージョンでカバーしている。確かに、どちらも男の女々しさにかけては良い勝負だ。

Is everything the same
Do you ever think of me
And how we loved one another
Will you change your mind
Will you want me back again
Or have you found yourself a new lover

(refrain)

Is everything OK
I just thought I'd write a song
To tell the world how I miss you
'Cos each and every day
I think of all the words I never said
And all the chances that I had to

(refrain)

Hearts can be that way
Hearts can be
Is everything alright

店を出ると、盛り場の生ぬるい夜風も、酔った頬に気持ち良い。たまには、こういう酒があってもいいじゃないか。さ、また明日から仕事だ、仕事。気合いを入れ直すと、飲み友達の彼と別れ、ちょうど滑り込んできた最終電車に乗り込んだ。

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プロフィール

Taro Who?/フウタロウ

管理人 : Taro Who?/フウタロウ
理系研究者からビジネス現場の通訳・翻訳・マーケティングサポートを経て、現在はもっぱら大学・大学院で理系英語・翻訳・プレゼン・ライティング等を教える。また、理系英語教育プログラム、脳科学的アプローチに基づく英語学習、通訳訓練法、通訳・翻訳理論を研究する。しばしば仕事はそっちのけで、旺盛な好奇心のおもむくまま、あらゆるジャンルに首をつっこみ雑文を書く。砂漠とロッキー山脈が大好きだが、最近はとんとご無沙汰。もっぱら仙人生活を送っている。でも、パーティーとおしゃべりは嫌いじゃない。日本生まれ、日本在住。20代から15年間アメリカで過ごす。

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