FC2ブログ

異文化と異次元の旅人

個別エントリー

2007年06月24日 (日)

雨の有馬旅情

コメント↓

朝目を覚ませば、外は大雨だった。この日は何人かのグループで有馬へ行く予定になっている。果たしてこの雨で楽しめるのか?ハイキングはおそらく無理だろう。最年長者、また阪神間を最もよく知る、実質上のハイキング・旅程責任者として、私は少し不安になった。なにわともあれ、ここ数日詳細にトラッキングしていた天気予報の情報にアクセスする。やはりこの日は一日「雨」だ。

有馬にいっしょに行きましょうよと誘われたのは、一週間程前のことだった。私が関係しているある大学で、アメリカから来ている交換留学生が有馬に行きたいというので、彼の世話をしている人達が、他の学生達にも声をかけた。ところが、時期が悪いのか、学生はほとんど集まらず、特に男性はゼロだった。有馬といえばもちろん温泉。この旅行の大きな目的でもある。だが、中に入れば男女別湯。そこでのしきたりは、女性達では面倒を見られない。という訳で、温泉指南役として男性の私に白羽の矢が立ったようだ。

個人的にはのんびり休日を楽しんでいる余裕はないはずなのだが、みんなでハイキングや温泉を楽しむという提案は魅力的だし、何より留学生のことを考えると、突き放してしまうことが出来ない。私も留学生として長く異国で過ごし、「外人」としての不安、肩身の狭さ、そして困った時に受ける親切のありがたさは身にしみている。そこで、他の男子学生達が参加できれば、もしかすると私は遠慮させてもらうかも知れないという条件でOKしたが、結局、男性はその留学生と私だけになった。

この有馬行きを企画した若い職員達は、とても仕事熱心で留学生の面倒見もいいが、いかんせん、この地域の出身者ではなく、六甲や有馬について詳しくない。簡単にハイキングするなんていうが、六甲とてそう甘くはない。私はオヤジに連れられて初めて摩耶山に登った小学生の頃から、何度も六甲をハイキングしてきたが、安全に楽しむためには、しっかりと準備してコースを決めなくてはならない。また有馬の温泉を楽しむといっても、非常に高級な旅館から公共の温泉までさまざまな選択肢がある。地元の人ならよく知っている情報をちゃんと頭に入れた上で、慎重に判断しないと、案外つまらないことにお金を使ってしまう。特に、学生や若い職員は経済的にも裕福ではないので、ここは知恵と工夫を駆使しなければならない。そこで、経験者の私の出番となってしまった。

久しぶりに六甲のハイキングコースや有馬の情報を調べた。留学生のM君はアウトドアが好きでハイキングを望んでいるようだ。温泉にも興味を持っているという。ただ、温泉があるから有馬を選んだ訳ではなく、たまたま近くに有馬があるから行ってみたかっただけのようだ。そこで、有馬周辺でハイキングを楽しむとともに、温泉も経験してもらい、さらに、六甲山の美しさも味わってもらおうと考えた。

ただ、同行する女性達はあまりハイキングが得意でない人や、体調が万全でなく参加できるかどうかさえ微妙な人もいる。そこで、あまり欲張らずに初心者コースを体験するとともに、2~3時間「真剣に」ハイキングするか、有馬の街でお茶をしながらのんびりするか、その時の気分次第で選べるというオプションツアーにすることにした。

さらに私の友人が、我々の計画にピッタリのお得情報を教えてくれた。「有馬・六甲周遊1dayパス」。六甲と有馬を周遊できる乗車券と有馬の公共温泉「金の湯」または「銀の湯」の入湯券がセットになって、2,300円。これで、六甲ケーブルカー、有馬六甲ロープウェイ、北神急行を含め、三宮から有馬までをぐるっと回る交通機関が乗り放題だ。それに温泉までプラスだ。単純にチケットを購入しても最低3,700円ほどかかるので、かなりお得。特に、天気さえよければ、行き帰りともケーブルカーとロープウェイを利用して、緑あふれる六甲の山並みとともに六甲からの夜景も楽しめる。即、これに決定した。

食事処は、有馬情報のブログを探せばコメントなどが詳しい。お昼は評判の高い「あり釜めし・蒸し寿司くつろぎ家」に個室を予約し、温泉を楽しんだ後は「ニュールンベルグバー」に立ち寄って、有名な「ニュールンベルグソーセージ」とビールで一服することにした。

そして、準備万端整えた当日だったが、…無情の雨。しかし、そういうのを楽しむのも「フウタロウ流」だ。有馬行き決行を決め、あわてて家を出る。それから丸一日、雨は止んだり、また降ったりを繰り返し、傘が手放せない有馬旅情となった。

最初は恨んだ雨だったが、ふたを開けてみれば、そのおかげで人は少なく、逆にのんびりと楽しむことが出来た。ケーブルカーやロープウェイ、バスは、休日にもかかわらず、我々以外ほとんど誰も乗っていない。六甲の木々は霧に包まれ、とても幻想的な風景を見せてくれる。山を歩くハイキングは中止にしたが、全員いっしょにのんびりと、有馬の街や温泉源を見て歩くことが出来た。



降っているのか止んでいるのか、切れることない小雨の中で、ひっそりと佇む小さな工房や古い街並みも、普段見せない有馬の素顔を見るようで、そこはかとない味わいがあった。虫地獄・鳥地獄に炭酸泉源、極楽泉源、あたご山公園まで、ぐるっと街を巡ってみると、意外と階段も多く、結構な散策になる。



夕方も4時近くになって、まだ雨は止む様子を見せず、太股に疲労も感じ始めたところで、もう十分歩いただろうと、山へのハイキングは断念し、ゆっくり体を休めるために金の湯へ向かった。それなりに入湯客はいたが、混雑しているほどではなく、ゆっくりと そして何度も、たまに水シャワーで火照った体を冷やしながら、赤い金の湯を堪能した。留学生のM君も、熱い温泉の長湯を楽しんでいるようだ。

余分に持参した手ぬぐいをM君に持たせ、温泉での使い方を伝授すると、私の真似をして、手ぬぐいを頭の上に載せ、湯船の中で笑顔を見せる。その時、他にも何人か欧米系の外国人が入ってきた。彼らはまるで、控えめな日本のお風呂文化を蹴散らかすかのように、大きく手を振って湯船の真ん中をじゃぶじゃぶ突っ切ってくると、M君の横に座り、何か話しかけてきた。ところが、英語圏の人ではないようで、M君は意味が分からずぽかんとしている。「サウナ。ライク、サウナ。ノット、ソーナ」と言っている。どうやら、温泉の効果はサウナに入るようなもので、サウナを英語流に「ソーナ」と発音するなと言っているようだ。聞けば、ロシア人の船員らしい。体がでかくて、やや怪しげな男達であった。

しばらくして、さすがにもう十分だと思ったのか、M君がシャワーを浴びて出て行った後も、私は日頃の疲れをすべて流し去ろうとするかのように、赤い温泉に浸り続けた。さすがに有馬の湯だ、体中が癒されていくと満足したものの、帰りの道すがら話をした有馬の関係者から、赤い湯は単なる錆だ、温泉としてはラジウムを含んだ銀の湯の方が効くだろうと聞かされて、苦笑してしまった。

温泉を出ると涼しい風が頬に気持ちいい。女性達が楽しみにしていた豆乳ソフトアイスクリームは、ちょうど閉店したばかりで、残念ながら味わえなかったが、開け広げたニュールンベルグバーのカウンターで味わったソーセージと生ビールは、噂どおり格別であった。

有馬からの帰り、やはり雨は降っていたが、ほんの少しの可能性に期待して、六甲山頂から神戸の夜景を見るために、最終便のロープウェイを目指した。ところが、ステーションには他の客は誰もいない。職員はもう店じまいしようとしている。そして、我々を見ると「あなた方の到着がもう少し遅かったら、風が強いので最終便をキャンセルするつもりだった。」と言う。「まだ、大丈夫ですか?」と尋ねると、「少し風が治まってきたので大丈夫だろう、すぐ出るので早く乗りなさい」と促す。間一髪だった。

しかし、降りしきる雨の中、六甲山頂はやはり霧で下界は何も見えなかった。それどころか、最終バスに乗るための乗り場もよく分らない。たまたま店じまいをしていたレストランの女性スタッフが親切で、いっしょにバス停まで案内してくれたが、ここでバスに乗り損ねていたら、雨と霧の六甲山頂に一晩取り残されるところであった。またしても、間一髪。



ケーブルカーから見る下界の街並みも、やはり霧に包まれていた。



打ち上げは、御影でお気に入りのピザの店へ。週末はいつも混んでいて予約なしで入るのは難しいのだが、電話するとたまたま席が空いていた。ピザとワインで盛り上がる。

大雨で一時はどうなるかと心配した有馬ハイキング・温泉ツアーだったが、ふたを開ければ、雨のおかげで、のんびりと混んでいない有馬を楽しみ、いつもと違う六甲の風情を楽しむことができた。留学生のM君も大いに楽しんでくれたようだ。とりあえず、最低限、私の役目は果たせたかな…

スポンサーサイト



ページトップ↑

23:59:00   たまには自由に  | コメント(0)  | トラックバック(1)

 ←元教え子と居酒屋で飲む 御影高杉のミルフィーユ→ 

コメント


管理者しか読めないようにします    

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL
http://tarowho.blog95.fc2.com/tb.php/109-2ecd58a0

有馬温泉有馬温泉(ありまおんせん)は、兵庫県神戸市北区 (神戸市)|北区(旧国摂津国)にある温泉。日本三古湯の一つであり、林羅山の日本三名泉、また枕草子の三名泉にも数えられる、全国有数の名湯。瀬戸内海国立公園の区域に隣接する。.wikilis{font-size:10px;color:#6

神戸探索.com  | 2007年07月25日 16:25:39

プロフィール

Taro Who?/フウタロウ

管理人 : Taro Who?/フウタロウ
理系研究者からビジネス現場の通訳・翻訳・マーケティングサポートを経て、現在はもっぱら大学・大学院で理系英語・翻訳・プレゼン・ライティング等を教える。また、理系英語教育プログラム、脳科学的アプローチに基づく英語学習、通訳訓練法、通訳・翻訳理論を研究する。しばしば仕事はそっちのけで、旺盛な好奇心のおもむくまま、あらゆるジャンルに首をつっこみ雑文を書く。砂漠とロッキー山脈が大好きだが、最近はとんとご無沙汰。もっぱら仙人生活を送っている。でも、パーティーとおしゃべりは嫌いじゃない。日本生まれ、日本在住。20代から15年間アメリカで過ごす。

リンク

記事一覧へ

ジャンル




全記事表示
管理者ページ

現在の閲覧者数

累積アクセス数

メールフォーム

名前:
メールアドレス:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる